ゴム金型とは、ゴム製品を所定の形状に成形・加硫するための金型であり、自動車部品や家電機器など幅広い製品を大量かつ高精度に製造する上で不可欠な金型です。タイヤ、ホース、パッキン、Oリング、防振ゴムなどの成形に用いられ、材質も天然ゴム、NBR、シリコーンゴム、フッ素ゴムなど多様なものが成形されます。ゴム金型の設計・製作は、高精度な製品形状の再現と大量成形時の安定した品質が求められます。
成形方式と金型の種類
ゴム成形には主にコンプレッション(直圧)成形、トランスファー(注入)成形、インジェクション(射出)成形の3方式があります。
コンプレッション成形は最も古典的な手法で、ゴム原料を金型に直接置いて圧縮・加硫します。構造が単純なため金型費用が低く、少量多品種生産に向いています。
トランスファー成形は「ポット」と呼ぶ注入室からゲートを経由してゴムを流し込む方式で、やや複雑な金型構造になりますが、インジェクション成形に比べ初期費用を抑えつつ厚み精度を高められるメリットがあります。
インジェクション成形は樹脂射出と同様に溶融ゴムをノズルで金型内に噴射する方式で、高速・自動化に適し大量生産に向きます。ただし金型・設備費用は高額になります。
その他にも、ホースや管状部品を作る押出成形や、必要に応じた成形方式のメリット・デメリットがあります。
金型設計・製作の工程
金型設計から納品までの流れを段階的に示すと以下の通りです。
要件確認・仕様打ち合わせ

図面・使用材料・成形方式を確定。ゴムの硬度や収縮率などを確認します。
金型構想設計

キャビティ、コア、ゲート・ランナー、ベント(排気溝)など主な構成要素を決定します。パーティングライン設計によりバリ発生を抑制し、離型角度(テーパ)を設けて製品取り出し性を確保します。
金型加工

CNC切削加工、放電加工などで金型部品を製作します。表面は鏡面研磨やクロムメッキなどで仕上げ、耐久性と離型性を向上させます。
組立・調整

加工部品を組み合わせて金型を組立て、噛み合わせや寸法精度を検査・微調整します。
試作成形・検証

完成金型で試作成形を行い、製品の寸法精度やバリ発生状況を確認します。不具合があれば設計・加工を修正します。
量産・出荷

量産用金型が完成したら、要求どおりの歩留まりと品質が得られるまで最適化した上で納品します。
石井精工の設計・製作サービス
弊社では、ゴム金型の設計から製作、成形加工まで一貫対応しています。各種工業用ゴム製品の試作から量産に至るまで、長年にわたる実績と技術力でお客様のご要望にお応えします。
試作から量産まで柔軟に対応
ゴム製品の仕様に応じて、試作用の簡易金型から量産対応の本格金型まで幅広く製作しています。形状の検討段階から対応可能で、設計段階での改善提案や工法検討なども含めて、製品開発をトータルでサポートいたします。
- 試作型:コストを抑えた簡易金型で、製品の形状確認や初期評価に最適
- 量産型:耐久性と生産効率を重視し、長期使用に対応
製作した金型を使用して、実際のゴム成形品の試作・成形まで当社で一括対応可能です。形状確認や評価にもスムーズに移行できます。
成形方式に応じた金型製作
- コンプレッション成形(直圧)
- トランスファー成形(注入)
- インジェクション成形(射出)
それぞれの成形方法に最適な金型構造を熟知しており、製品形状や用途に応じて最適な方式を選定し、設計します。
また、ゴムの収縮率やバリの抑制、脱型性なども加味した高精度な金型設計を行い、安定した量産性と品質を確保しています。
多様なゴム材質に対応
使用材質は以下を含む各種ゴムに対応しています。
- 天然ゴム(NR)
- ニトリルゴム(NBR)
- クロロプレンゴム(CR)
- シリコーンゴム(Q, VMQ)
- フッ素ゴム(FKM)
- EPDM、SBR、ウレタンゴム など
材質ごとに異なる流動性や収縮率などの特性を把握し、材質特性に適した金型設計を心がけています。
対応業種・用途
- 自動車部品
- 家電・電子部品
- 工業用機械部品
- 医療用部品
- 光学・精密機器用部品 など
小型・精密部品から中~大型成形品まで、幅広い業界の製品に対応可能です。